
医学生のうちに読んでおいた方が良い本ってあるのかな?
勉強や部活で忙しい医学部生活、なかなか読書の時間が取れない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、現役医学生の私が実際に読んで、「これは読んでおかないともったいない!」と思ったおすすめの本を厳選して紹介します。
ジャンル別に紹介しているので、気になる本があればぜひ一冊でも読んでみてください。
医学・医療について学べる本
病の皇帝「がん」に挑む 人類4000年の苦闘
現役の腫瘍内科医で、がん研究者であるシッダールタ・ムカジーによって書かれた「がんの歴史書」です。
さまざまな医師・研究者が、それぞれの信念を持ちながら得体の知れない「がん」と対峙していく様が描かれており、まさに「ノンフィクション・ミステリ」といった感じです。
上下巻合わせて800ページの長編ですが、文体が非常に読みやすく、高校生物程度の知識があればサクサク読めると思います。
がんの研究に人生を捧げてきた医師・研究者や、がんと闘ってきた多くの患者のおかげで、今のがん治療があることが実感できる良書です。
こわいもの知らずの病理学講義
大阪大学医学系研究科の教授である仲野徹先生の著書です。
関西の軽いノリで雑談のように話が進んでいきますが、内容としては「ロビンス基礎病理学」に沿った本格的な医学の本です。
仲野先生の文章は非常に面白いので、病理学に興味がある人もない人も、読んでおいて損はない本だと思います。
医療現場の行動経済
A「術後1ヶ月の生存率は90%です」
B「術後1ヶ月の死亡率は10%です」
同じ内容を伝えているのにも関わらず、Aの場合は約80%の人が手術をする選択をし、Bの場合は約50%の人しか手術をすると答えなかったという研究があります。
この現象を、「フレーミング効果」や「損失回避」といった行動経済学の原理によって説明しているのが本書の特徴です。
行動経済学自体が面白い学問分野ですし、それが医療現場でどのように当てはまるのかが学べる、非常におすすめの本です。
医療4.0
人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ。医療分野へのテクノロジーの応用はすごい勢いで進んでいます。
この本では、医療×テクノロジーの連携に取り組む医師30名が、「2030年の医療の展望」というテーマでそれぞれの考えを語っています。
テクノロジーによる医療の変化に取り残されないために、最新の知見を取り入れて知識をアップデートしていきましょう。
医師国家試験の取扱説明書
医師国家試験の過去問には、出題者のメッセージがふんだんに盛り込まれています。
そのようなメッセージを意識しながら問題を解くことで、医師国家試験は単なるペーパー試験ではなく、臨床能力を身につけるための良い教材になります。
この本では「取扱説明書」というタイトル通り、医師国家試験の過去問に対する向き合い方から、具体的な取り組み方まで丁寧に説明されています。
これから国家試験の勉強を始める5、6年生や、CBTの勉強を始める4年生におすすめの一冊です。
もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典
感染症の専門家である岩田健太郎先生と、累計発行部数450万部のマンガ『もやしもん』のコラボです。
覚えることが膨大で嫌いになりがちな感染症ですが、かわいらしいイラストを交えて説明してくれるので、勉強のハードルが下がりおすすめです。
教養が身につく本
サピエンス全史
非常に話題になった本なので読んだ方も多いのではないでしょうか。
250万年前に人類がはじめて地球上に現れてから、我々ホモ・サピエンスが地球上を支配するようになるまでの壮大な歴史がまとめられた大作です。
特に、「虚構によって協力が可能になった」とする「認知革命」の章は、目からウロコです。
かなりのボリュームですが、まだ読んでいない方は、時間があるときにでもぜひ読んでみてください。
FACTFULNESS
この本も非常に話題になった本です。
突然ですが、本書の中で取り上げられている3択クイズを紹介します。
世界中の1歳児で予防接種を受けられている割合はどれくらいでしょうか?
A. 20% B. 50% C. 80%
FACTFULNESS
正解はCです。なんとなくAやBを選んでしまった方もいるのではないでしょうか?
この本の結論としては、「思い込みを捨てて、データを使って世界を正しく見よう」ということが述べられています。



筆者は公衆衛生医師の経歴を持ち、医療関連の話題も豊富なので医学生にも読みやすいです。
夜と霧
オーストリアの精神科医であるヴィクトール・フランクル先生の、強制収容所で体験をもとに書かれた本です。
過酷な環境、絶望の中でどうやって希望を持って生きるのか、生きる意味とは、など考えさせられる内容なっています。
学生のうちにじっくり味わいたい一冊です。
お金について学べる本
お金の大学
「貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う」というお金にまつわる5つの力を身につけて、お金に困らない人生を手に入れようというコンセプトで書かれています。
いろいろな制度を利用して節税をしたり、支出を最適化したりしている人と、そうでない人とでは、収入は同じでも大きな差がついてしまいます。
働き出すと忙しくてお金の勉強をする時間もとりにくくなってしまうので、比較的時間のある学生のうちに勉強してマネーリテラシーを身につけておきましょう。



この本のもとになっているYouTubeチャンネルもおすすめです。
金持ち父さん貧乏父さん
日系アメリカ人のロバート・キヨサキ氏による世界的な大ベストセラーです。
この本の中では、あらゆる仕事を、従業員/専門家/経営者/投資家の4つに分けています。
そして、お金持ちになれるのは経営者/投資家であり、従業員/専門家はお金持ちになれないと述べられています。
面白いのは、一般的にはお金持ちと言われている医者は、お金持ちになれない「専門家」であるということです。
詳しく知りたい方はぜひ手に取って読んでみてください。
自己啓発本
7つの習慣
世界で最も売れている自己啓発本、全世界で3,000万部という異次元の超ベストセラーです。
小手先のテクニックやノウハウだけまとめた本ではなく、人間として本質的に成功するための方法が書かれているのが、これだけ売れている理由かと思います。
自己啓発本というと少し怪しい印象があるかもしれませんが、この本は読んでおいても損はないはずです。
LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略
「人生100年時代をどう生きるか」が本書のテーマです。
テクノロジーの進化や社会構造の変化によって、医者に求められる役割は大きく変わっていきます。
「医者余り」が起こるとも言われている中で、常に知識やスキルをアップデートしていかなければ、医者といえども淘汰されてしまう時代が近いかもしれません。
チーズはどこへ消えた?
「1時間で読めて10年間役に立つ」と言われている名著です。
エンゼルスの大谷翔平選手が愛読していることでも有名になりましたね。
「 変化を恐れるな。本当に恐れるべきなのは、現状維持だ」というのがこの本のメッセージです。
すぐに読めるので、気になった方はぜひ読んでみてください。